IT業界に入ったばかりの皆さんへ

IT業界に入ったばかりの皆さんは誰しも様々な期待を胸に抱いているのは間違いないのではないでしょうか。
「社会人になったら責任ある仕事ができるだろう」
「IT業界に入ったからには、最新技術やAIに関わる仕事ができるかも」

そんな希望を持ってスタートラインに立ったと思いますが、実際に配属された先で目の前にある仕事を始めてみて少し戸惑いを感じている方もいらっしゃるかもしれません。

会議の議事録作成、誰にでもできそうな資料の作成や修正、電話番などなど。
「え、こんなことをやるためにIT業界に入ったんじゃない」
「もっと自分の得意分野を活かせるはずなのに」

自分自身も同じように考えていましたからそのように思う気持ちはとてもよく分かります。
でも、お伝えたいことがあります。「意味のない仕事」なんて、本当はどこにもないということです。

「意味のない仕事」なんてどこにもない

新人が任されることの多い「議事録作成」ひとつ取っても、ただのメモ取りではありません。
・誰が、何を、どのように決めたのかを明確に整理する
・その場で発言された曖昧な言葉を、読み手に分かりやすい表現に変換する
・議論の背景や意図を汲み取って正確に文字にする

完璧な正解がない分、議事録は手順書や設計書よりもずっと難しいと感じます。書き手が理解していない議事録は読む人が読めばすぐに分かるものです。
こうした"正しく理解する力"と"正しくアウトプットする力"はエンジニアとしても、ビジネスパーソンとしても将来に渡ってずっと役立つものです。

「工夫」はどんな仕事にもある

どんなに単調に思える仕事にも、工夫の余地はあります。
・もっと分かりやすくするには?
・相手が本当に求めているのは何だろう?
・どうすれば先輩が助かるだろう?

自ら考えて工夫を凝らすこと、そこにこそプロフェッショナルとしての成長があります。
そして、工夫する際には「相手の立場に立って考えること」が重要です。
自分では良かれと思った工夫も、相手の視点が欠けていると、かえって迷惑になることもあります。
相手の状況や意図を想像し、何が本当に役立つのかを考えることこそが、意味のある工夫につながるのです。

感謝の気持ちが信頼を育てる

「感謝が感謝を生み、不平が不平をよぶ」という言葉がありますが、不平を言ってもその時留飲が下がるだけで良いことはありません。
新人の頃は「分からないのだからやってもらうのが当然」と思いがちですが、仕事に限らずどんなことでも他人にしてもらって当たり前のことなんてありません。
先輩が時間を割いて教えてくれるのも、チームメンバーが手間をかけてレビューしてくれるのも、すべて“自分の成長を願ってくれているから”です。
その思いに気づき、素直に感謝できる人は、どんな職場でも応援され、支えられ、信頼されていきます。

最近、隣の席にいる新卒の方たちがWeb会議の終了時にカメラをオフにしているにも関わらず、きちんとお辞儀をしている姿を見ました。
自分が社会人になりたての頃、お客様との電話を切る際にお辞儀をしていて周囲の先輩たちに「意味がない」と笑われていたのを思い出しました。
お辞儀をするときの声音や態度は、たとえ見えていなくても相手に伝わると信じていたし、自分自身が感謝を忘れないためでもありました。
すっかり忘れていたことですが改めて感謝の気持ちを忘れないようにしようと思った瞬間でした。

私自身まだまだ足りない部分がありますが若い人たちからも気付きを与えられながら共に成長していきたいと思います。
皆さんも、今目の前にある仕事の中に、未来の自分を育ててくれる“種”があるかもしれません。
是非、ご自身の工夫と感謝の心で、その種を育てていってください。

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